2009年10月17日土曜日
リトル・チルドレン
ミスト
リリア 4-ever
なぜ彼女はこの世に生まれてきたのか。何の意味があって??そう思わざるを得ない残酷な仕打ち。
凍て付きそうな風景。車のフロントガラスに張り付く雪。灰色の空に煙突。全ての風景が暗い。でもこれが現実で、彼女が生きる世界なのだ。
最後は残酷かもしれないけれど、こんな映画を観るとますます人生は理不尽だと思ってしまうけれど、彼女は死をもって始めて安心できる場所へ行けたんだと思う。そして永遠に親友と楽しく暮らす事ができる。
背中の羽根とかくすんだ雰囲気の映像が、私的にはかなり好みです。非常に重いテーマの映画なので観ているだけで辛い気持ちになってしまいますが、かなりリアルで素晴らしいです。日本では未公開でDVDも発売されていないようですが(やはりテーマが重すぎるのでしょうか)、このような作品こそ多くの人に観て欲しいと思います。
2009年5月31日日曜日
モモ
羊たちの沈黙
2009年5月24日日曜日
ロリータ('62)
ロリータは新しい方の作品は観た事がありましたが、こちらのキューブリックのほうをやっと観る事ができました。
新しい方のロリータは、当たり前ですけど現代的に書き換えられています。そっちの教授のイメージは、中年でこんな若い子にハマってしまってかわいそうだわ。。。という、ちょっと同情をしてしまいそうになりそうな印象でしたが、キューブリックの作品のほうでは、狂気に満ちた恐ろしい男にしか見えなかったです。そういう意味ではこちらの作品のほうが観ていて目が離せないものになっています。
それにしても、あの執拗さとか狂気とか、、、とにかく怖いです。私だったら、いくらお金のためでも彼に自分の居場所を教えるような事は絶対にしないけどなー。新作のほうだとロリータは出産に伴って亡くなるという結末だったけど、こちらではそういう結末ではなさそうだったのでとりあえず安心しました。とにかく、狂気に満ちた男を描かせたらキューブリックの右に出る物はいないですね。
2009年5月2日土曜日
スカーレット・ヨハンソンの百点満点大作戦
2009年4月2日木曜日
のら猫の日記
恋する人魚たち
この親子三人の生活がとても奇抜なので、それだけでも飽きない映画だと思います。(笑)また、若き日の(まだ10代)ウィノナ・ライダーの演技がとても素晴らしいです。そしてとても清楚な美しさで、この役にはぴったりだと思いました。恋ばかりしてちっとも家庭的でない母は周りのお母さんたちと比べても全然違う。それは思春期の彼女にとっては凄く恥ずかしかったりもするのですが、でも化粧も服装もすごく奇麗にしていたりするのを結構嬉しく思っていたりもしてます。ウィノナの母親を見る時に度々見せる、とても恥ずかしそうな困ったような、呆れたような顔が凄く好きです。あんな表情はやはり彼女だからできるんですね。改めて凄い女優さんなんだな~と実感しました。奔放な母に対してぶち切れたりふて腐れている所なんて、思春期ってみんな同じような態度になるよなぁ、、、なんて。
あと注目すべき人はクリスティーナ・リッチですねー。こんなに小さい頃から映画に出ていたんですね。この子役さん、演技とか存在感とか凄いなーと思ってよく見たら彼女でした。やっぱり昔から個性的で才能のある女優さんだったのですね。
2009年3月17日火曜日
スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー
フランク・ゲーリーという建築家には以前から興味があって、このような貴重なドキュメント映画を観る事ができてとても嬉しく思います。(とは言っても映画館では観れませんでしたが。)
何故人々は建築家を必要とするのか。普段の生活で想像力を高め、感性を磨き、精神的な豊かさを満たしてくれる。それだけでなく、その建築一つで街の雰囲気がまるで変わってしまうし、街の価値までも高めてしまう力がある。フランク・ゲーリーの建築はその上機能性も重視しており、デザイン性にこだわるあまり機能性を失ってしまうというような事は決してなかった。デザイナーと建築家の違いはそこなんだと思いますが、彼はそれを完璧に創り上げる天才と言えると思います。
映画自体は本当にドキュメンタリーというか、記録映画のようなものですが、なかなか一度にこんなにたくさんの作品は観れないと思うので大変興味深いものでした。写真ではその建築物自体しか観る事ができませんが、映画ではその建物の色んな角度を映していて、周りの建物や街の中でどう溶け込んでいるかというのがよくわかりました。この映画を作るにあたって映像だけで建築を表現するのにだいぶ苦労されていたようですが、建築の映画?としてはじゅうぶんではないでしょうか。
2009年3月1日日曜日
ワーキング・ガール
80年代のニューヨークってこんな感じだったんだなぁ~と、色んな面で勉強になる作品でした。まずはファッションにビックリ。えぇ~~っ、こんな髪型とか服装って、、、本当にどこかクラブなんかに遊びにいけちゃいそうな雰囲気で出社していて。派手な真っ赤な口紅はお決まりメイクで。きっとこういう映画でアメリカン・ドリームを夢見る人もいたのかもしれませんね。特に働く女性の夢をつかむ話ですから、この時期での日本の女性にも影響を与えたのかもしれません。
ストーリー的にはお決まりパターンな感じですが、かえってそれが安心して観る事ができて良かったです。わがままな女性の上司に振り回され、帰宅したら同棲中の彼氏が他の女と寝ていて、彼氏と別れて仕事一本に生きていって、最後に大きな仕事をやり遂げる事ができ、そんな自分に見合った男性がいつの間にか側にいたって話です。その間、最初の彼女は派手な格好で男受けしそうな雰囲気だったのが、見事にキャリアウーマンに変身していきます。
余談ですが、女上司キャサリン(シガーニー・ウィーヴァー)が退院してやっと彼氏に会えるとなった時の行動がかなり面白かったです。香水を振りまき、下着姿で誘惑しようとするが彼氏はまったく乗り気でなく(彼氏は別れを言おうとしていたのだから)、それにすらあまり気づいていない彼女がかなり笑えました。秘書にピルを今すぐ買って来てと頼んじゃうのも唖然としましたね~。(笑)やっぱりアメリカ人ってオープンなのね。
ロリータ
この映画、凄く好きです。日常的にタブーとされている題材についてこんなに赤裸裸に描かれている映画もあまりないですよね。中年男と少女のいけない関係についてですから。。。それにしてもこの子役のドミニク・スウェインさん、とびきり美少女って感じでもないんだけど、何故にこんな仕草ができるのーー??私にも教えてーーっ!!!ってぐらい艶かしい。これはもう天性のものでしょう。
真面目に生きて来た中年男役のジェレミー・アイアンズの雰囲気もすごく合っていたように思います。こんな小さな女の子に翻弄されてしまいどうする事もできなくなっている場面なんて、あまりに彼の純情さが伝わって来て可愛そうになってしまいました。ロリータは本当に悪い子ですよ!(笑)そして恋愛経験の乏しい彼は、段々と彼女を拘束するようになってしまう。それに息苦しさを感じた彼女は何度も逃げ出そうとするが帰る家もなく、結局戻ってしまうのは彼のいる所なんですね。強かな彼女は、彼に愛情を持っているフリをして実はお金だけが目当てだったりして、そんな場面も見ていられないほど彼が気の毒になってしまいました。途中で少し彼の狂気じみた部分も見えましたが、そうさせたのは全て彼女の責任ですからねー。でももっと過激な部分を見せて欲しかった気もします。大学教授をしているダンディで知的な中年男性が、一人の少女と出会ってどう狂っていくのかというのを、そのギャップをもっともっと露骨に描いても良かったかもしれませんね。
それにしても、私はこの映画はキューブリックのものが観てみたいのですが、そっちはまだ観ていません。今更ながらですが、今年中にはキューブリックのロリータを鑑賞したいと思います。
2009年2月17日火曜日
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
最近邦画で「ヘブンズ・ドア」ってやってるけど、これってこの映画のパクリじゃないのっ??と真剣い憤りを感じてしまった。それぐらいこの映画は大好きです。それなのに、、、それなのに何故に日本でリメイク??別にリメイクしなくたっていーじゃん!!この映画は名作としてそっとしておいて欲しいなぁという心境です。
海を見る為に強盗、窃盗をしでかす二人。でも後になって返したり、棚ぼたで手に入った大金を困っていると思われる人々に送ったりと、とても素敵で可愛い事をしてくれます。とても都合良く出来ている内容も、この重いテーマではならではのご愛嬌という事で。(こういう展開だと誰でも面白いと感じながら観る事ができますよね。)一番最後の場面が一番奇麗で好きです。朝焼けの中、風が強く波の荒い海の場面です。
突然の死の宣告に恐怖を感じる前に、もしくはその恐怖を忘れるためにこんなにも一生懸命に、ただ「海」を見るために無茶苦茶やってきた二人をとても愛おしくとても近く感じてしまいました。若くして命を落とす事になった二人に、何でもうまくいく!という素晴らしい時間を神様がくれたのかもしれません。
2009年2月7日土曜日
フルメタル・ジャケット
すっかりキューブリックファンの私です。戦争映画って音響効果が凄いイメージがあったのですが、これはまた今までの戦争映画とはひと味もふた味も違った雰囲気を持っています。キューブリックの映画は不気味な静けさが特徴的という気がしますが、この映画もまたかなり不気味な静けさが続いていました。そして前半と後半での映画としてのイメージがあまりに違いすぎる。(これはシャイニングでも同じですね。)前半は海兵隊に入隊する前の訓練校での厳しい毎日を描いていて、後半は実際に戦線で活躍する彼らを描いている。前半もかなり凄かったけれど(教官が聞くに耐えないようなおぞましい言葉で訓練生たちを罵り、罵倒し、人格さえも抑圧させてしまう。)後半の戦地でのシーンはかなり恐ろしかったですね。余計な効果音は全くないです。でも何なんだろう、あの恐怖心を煽るような恐ろしい音がたまにするんですよね。あとは銃を操作する音や服が擦れる音ぐらいしかしません。カメラワークをどうやっているのかは調べていないのでよくわかりませんが、恐らく兵士たちと一緒の仲間になったような視線で撮っていると思います。
この映画を観ると、なぜ戦争ではあんなに大量に人を殺せるのかという感覚がわかる気がしてきます。映画の中でしょっちゅう「ウジ虫ども」や「ネズミどもを駆除しよう」などという会話が出てきますが、本当にその感覚なんですよね。とにかく敵がいたら「駆除」しないといけないという条件反射のようなものなんだと思います。それは戦地に赴く前に恐ろしく厳しい訓練校で精神的に植え付けられ、卒業する頃には大抵の兵士たちは「敵を派手に殺したい」という衝動に駆られているように思えました。
バス174
ドキュメンタリー映画の中でもドキュメンタリー映画らしい映画でした。ブラジルに以前から興味があったので、なんとなく気軽に観てしまいましたがそれが大間違いでした。
幼い頃から環境に恵まれずストリートチルドレンになってしまった少年。本来はとても母親思いの優しい子どもだった。でもストリートチルドレンという厳しい環境が彼を「バスジャック」という非常に恐ろしい行動へと駆り立ててしまったのだ。どんなに自分の生まれた環境や世間の冷たい人々を呪っても、何をしても自分の環境を一向に変える事はできなかった。ストリートチルドレンはお金の為だったら何でもする。強盗はもちろん、殺人だってする。彼もかつて母親を目の前で殺され精神的ショックを受け、挙げ句の果てに今のようなストリートチルドレンになってしまったのだ。でも彼は本物の悪人にはどうしてもなれなかった。結局彼の優しさが全てを邪魔していた。
ブラジルの国というものがどれだけ貧富の差が激しいのかという事、そしてストリートチルドレンへの対策が全く為されないまま何十年も放置され続け、それを取り締まる筈の警察のいい加減な事と言ったら。本当に見ていて呆れました。映画に出て来た特殊部隊は素晴らしかったと思うけれど、警察は素人同然で驚きました。
なぜ自分がブラジルに今までそこまで行きたいと思っていたのか、なんだかよくわからなくなってしまいました。ブラジルの音楽やラテンの雰囲気を味わいたいなどと暢気な事ばかり言っていた自分は本当に実情を知らなさすぎて、とても恥ずべき事ですね。もしそれでも行きたいと思うのなら、この貧困やゲットーの実情をよく知って、それに伴うリスクも考えてから行動するべきだと思いました。
2009年1月25日日曜日
ヘヴン
とても完成されているこのような映画に出会えると、私自身とても満足した気分で一杯です。こういう映画が本当の映画と言えるのではないでしょうか。音楽も最初から最後まで静かでとても効果的に使われています。映像とか風景もとても美しい。(というか私の好みです、色とか雰囲気とか。)
自分の明るい将来を捨て、自分自身の信念だけを信じて行動する青年。自分の意思と反してとんでもない罪を犯してしまった美しい女性。どこでどうやって惹かれあうのかなんて、誰にも、本人たちにすらわからない事ですよね。恋愛ってそういうものだと思うのです。話の内容的にはとてもシリアスで破滅的です。でも時間は事件が起こる前も起こった後も、いつも同じように過ぎて行く。そして事件が起きた事が夢なのではないかというぐらい、一日一日が淡々と過ぎて行く。
最後のシーンがとても切なくて、二人が音もなく消えてしまった時は下にいる人間たちがとても俗物的で汚い物にさえ見えてしまいました。二人はきっと、この世で生きて行くには純粋すぎて傷つけられてしまうだけなのです。二人は出会った時から「死」を意識していたでしょう。ヘリコプターに乗った時に、遂にそれを決行したのですね。二人らしい「死」への選択だと思います。
2009年1月12日月曜日
スイミング・プール
ただのサスペンス映画かと思っていたらとんでもない!っていうぐらい素晴らしい映画でした。
はっきり言ってしまうと、この映画はとある中年独身の女流作家の想像の中のストーリーなんですね。もしまだ映画を観ていない方がいましたら、ご覧になってからこの先を読んで頂いたほうがいいと思われます。(笑)作家のサラは人気作家だがスランプに陥っていて、しばらくの間南仏の編集長の別荘でのんびり過ごす事にします。美しい風景を観ながら、美しい別荘で、毎日散歩がてらブランチしにいくカフェで、彼女は作家という職業柄いろんな想像をして楽しみます。で、ここまでが実際に起こった事で、この先からのストーリーは全く彼女の想像での世界なんですよね。最後のシーンを観るまでは私も全く予想できない展開でした。別荘のプールを観て、きっと「こんな美しい若い女性が似合う場所だ」と思ったのかもしれません。そのあたりからジュリー(編集長の娘)が登場します。最初はうまくいかなかった二人ですが、ある事をきっかけに距離が縮まっていきます。それは彼女の一種の願望ではなかったのかと思います。親子ほど年の離れた女性同士、サラはきっとこんな娘がいたら、、、などと日常的に想像したりしていたのではないかなぁと思ったりしました。そして最後にジュリーが突然去り、彼女の小説もちょうど書き上がってパリへと戻るのです。ジュリーが自分の母親が書いた小説を出版するよう手伝って欲しいとサラにお願いする部分がありますが、これはきっとサラが別荘でその原稿を見つけたという事ではないのかなぁーと勝手に思ってしまいました。
最後のシーン、とても好きです。あの神経質でいつもしかめっ面のサラが、とても優しい表情で出版社へ出かける場面。いい仕事をやり遂げ、精神的にも落ち着いているのがよくわかりました。そしてそこで初めて会う編集長の娘は、自分の想像していた娘(ジュリー)とは全く違う雰囲気の子で、その子を見た時にサラはちょっと寂しそうに笑います。きっとジュリーの事を懐かしく思い出したのでしょう。最初から存在していなかったのだから、今後も会う事ができない南仏での美しい幻です。美しく、エロティックで幻想的な映画で、静かに淡々と映し出されていくこういう雰囲気の映画がとても好きです。
シャイニング
もしかしたらずーっと昔に観た事あったかもしれないのですが、今回はしっかりと観てみました。あまりホラー映画は観ないのですが、キューブリックとニコルソンに惹かれて観る事に。私的にはこういう謎解き的な映画はとっても好きです。色んな場所に話のヒントのような物が隠されているじゃないですか。こういうのを一つ一つ思い出して「振り返り」のような事を楽しむのが大好きなもので。(笑)
このホテルは死者によって呪われているというのはわかりますが、なぜジャックまでもがこの世界に引き込まれてしまったのか。それはここの「管理人」になった時点でその運命は決まっていたのです。というか、管理人になるという事すら既に運命で決まっていたのかもしれませんね。それは最後のモノクロの写真(1920年のバーの写真)に彼が映っていたので説明がつきます。これは私の勝手な見解ですが、彼は生まれる前にこのホテルで亡霊として住み着いていたんです。そしてこの世に生まれてこのホテルの管理人となる。そこまで既に決められていた事なのではなでしょうか??そこで知らず知らずのうちに邪悪な死者の霊たちによって洗脳されていくのです。「妻と子供を殺す」という事が本当の管理人の仕事だと言う事を。。。バーでの人々はみんな本当は死んでいる人たちで、そこで歓迎されるジャック。仕事を進めていくジャックを激励する元殺人犯。途中から超能力を使えなくなってしまったダニー。恐ろしく印象的な場面もたくさん組み込まれています。すぐに浮かんでくるのはエレベーターからの血の洪水だと思うのですが、無駄に広い廊下でダニーがミニカーで一人で遊んでいる時に突然ボールが転がってくるシーンなんかも、静かだけどとっても怖いと思ってしまいました。音楽や撮影方法にも凄くこだわりを感じられ、とにかく無駄な音は一切しないという事ですね。でもその分ほかの音が凄く目立ってしまい非常にリアルな雰囲気となっていました。ダニーがホテルのフロアを三輪車のようなものでグルグルと回るシーンがありますよね。ガーっと音がしていたかと思うとカーペットの上に乗った途端スーッと音がなくなる。広すぎる空間に響くタイプライターの音。無線の声。。。全てが本当に不気味に感じてしまいました。最後のハロルドが来るシーン、あんなに時間かけてやっと来てくれたって思ったところであっさり殺されてしまうなんて、さすが一筋縄ではいかない映画です。。とりあえず映画の中で唯一最初から最後まで正気でいてくれたのは奥さんだけで、奥さんの存在だけが頼りでした。最初は天然っぽい変わった奥さんなのかなぁ~という印象でしたが、かなり勇気のある頼りになる人でしたね。ダニーも迷路の中での足跡を隠すという作戦は、子供にしてはとても賢く冷静な行動でしたね~。とにかく役者さんもみんな素晴らしいし、子役さんも素晴らしい。(こんなに素晴らしいのに、この映画にしか出演していないのは不思議です。)でも1980年の映画ですから、今は30代後半ぐらいでしょうか?それはさておき、私はこれからニコルソンに対してこの恐ろしいジャックのイメージをしばらく払拭できなさそうです。
2009年1月11日日曜日
ルワンダの涙
「ホテル・ルワンダ」に続き、二作目のルワンダ紛争に関する映画です。この映画は「ホテル・ルワンダ」とはまた違った視点であの大量虐殺について描かれています。「ホテル・ルワンダ」がルワンダ人の視点で描かれているとしたら、この映画は駐在していたアメリカ人やヨーロッパ人たちの視点で描かれてると思います。
自分もナタで殺されるのが怖い。そして自分だけは助かる道がある。でも一緒に過ごした大切なルワンダ人たちを見捨てる事はできない。そういう葛藤に悩む若い白人教師の思いが凄く伝わってきました。誰だってそういう境遇に置かれたら、自分は助かりたいと思うでしょう。殺されるのは怖い。誰だってそう思うのは当たり前の事ですから。しかもここでの大量虐殺は銃殺よりもナタでの殺害が圧倒的に多かったのです。それがどれだけ恐ろしく苦痛を伴うのか、想像を絶する残虐さです。結局その白人教師は「見捨てる」という形でルワンダを去る事になりますが(実際は「見捨てた」というにはあまりに残酷な気がします)、その後何年経ってもその事は彼の心の中の暗闇となって一生死ぬまで付きまとう事になると思います。彼はそこでルワンダ人と共にナタで殺されていても、逃げて生き延びても、どちらにしても苦しむ事になってしまったのです。
観ていてやりきれない気持ちになってしまう映画ですが、最後のシーンでとても救われる想いがしました。こんなにも傷つけられ、もうこれ以上傷つけられる事はないんじゃないかというぐらい傷つけられたルワンダの方たちが、このような映画製作に携わってくださった事に深く敬意を表したいと思います。どんな窮地に追い込まれ、自分が犠牲になるとわかった時にでも「犠牲は最大の愛」と言って死んで行った神父様や、家族の遺体の下に隠れて死を免れた少年。。。この日本にいる限り、彼らの気持ちは一生理解できないかもしれません。それでも笑顔で頑張っている前向きな姿に、今の自分の生き方に対して疑問を抱いてしまいました。
ハッピーフライト
私が映画館に行ってこの手の映画を観るのは誰かに誘われた時のみです。(笑)今回ももちろんそんな感じで、でも元々綾瀬はるかさんがとても可愛らしくて好きなので誘われるがままに行って参りました。まずは、ANAの全面強力&宣伝が凄い!という事を改めて思いましたねー。まぁ映画の宣伝している時から凄いなって思ってましたけど、ここまでとは。。。
まぁそこは置いといて、肝心の映画の話をしましょう。こういう映画って私的にはとても好きです。それはただの娯楽映画的要素だけで終わっていないからです。この映画で面白いと感じた所は、専門用語をそのまま使っていたり一般人には知られていない航空業界の内部について細かく描かれているところです。最近は医療モノもこれでもかってぐらいありますが、そういうのって専門的な物に対して変に説明しちゃってる部分ってあるじゃないですか。でもこの映画ってそこは違うんですよね。その道のプロフェッショナルな部分と、マニアックな部分と、全部そのまま淡々と描いている感じでした。だから観ていて新鮮で面白かったです。私の予想では新人CA(綾瀬はるか)が中心になっているドタバタ系のファミリー映画だったのですが、全然違いましたね。航空関係のあらゆる業種の人たちにスポットを当てて、話の展開もテンポ良く、素直にとっても楽しかったです。きっと本物の方たち(実際に航空業界にいる方たち)が観たら、ここは違うとか色々と文句が出そうな部分はあるでしょうが、それはまぁ映画という事で許容範囲ではないでしょうか。これを観ると、格安航空券って本当に安いんだんぁ~。こんなに安くて大丈夫??って思ってしまうと思いますよー。これだけ色んな人が関わっていて絶対に間違いは許されない厳しい仕事なのだから、航空券が高くても仕方ないって思ってしまいました。
2009年1月6日火曜日
ホテル・ルワンダ
今までルワンダの内戦について詳しく知らなかったのですが、この映画で全ての事が伝わってきたような気がしました。そしてルワンダ内戦がなぜ他の国と事情が違うのか、それをきちんと知ろうとしなかった自分をとても恥じます。
ルワンダの紛争がなぜ起きたのか、それは二つの民族「フツ族」と「ツチ族」の柵が何十年にも及んでいた事が根底にあるのですが、90年~94年にかけてそれが活発化し、やがて他国の入る隙がないほどに大きなものになってしまったのです。なぜ民族が違うだけでここまで憎しみ合い大量虐殺にまで及んだのかその人々の精神についてはあまり理解できませんが、でも実際に世にも恐ろしい内戦が起こってしまったのです。最初は他国が和解させようとしたり国連軍が守ってくれたりもしていました。しかし状況が悪化するにつれて他国が少しずつ手を引き(簡単に言うと見放したんです)、遂には身に危険を感じた国連軍まで引き上げてしまいました。最後の砦だった国連軍から見放された人々は、一体何をあてにして生き延びればいいのでしょう。国連軍も国を見捨てる事があるんだなぁ、、、と、映像の中の人と同じように私も相当ショックを受けました。最後に頼れるのは身内だけなんですね。。。しかも、その見捨てた時の理由として「ルワンダは他国において、そこまで重要な国ではない。ルワンダがどうなろうと自分の生活には影響が全くない。」などの事を述べていましたが、これを聞いて本当に切ない気持ちで一杯になってしまいました。そしてルワンダの実情をいくら報道で伝えても、所詮他国の人は人ごとで「あぁ、ルワンダって怖い国だね」で終わってしまうと、一人の報道マンが言っていましたが全くその通りかもしれないです。そこですぐに何か支援をしようと思える人なんて、ほんの少ししかいないのが現実だと思います。結局みんな他人の事なんてどうでもいいんです。それは身近な人間関係にでも言える事なんじゃないかと感じます。話は聞くし、あぁ大変だね、可哀想だね、何か手伝おうか?大丈夫?なんて言葉はいくらでもかける事ができます。でも一体すぐに行動を起こしてくれる人って自分の周りにどれぐらいいるか考えると、そう多くはないと気づきますよね。
この映画を観て、ルワンダについて凄く興味を持ちました。そして今また同じように苦しんでいる国があったとしたら、月並みな表現ですが同じ人間として何かできる事はないかと真剣に考えさせられました。それは「何かをやってあげる」のではなく、「自分のために何かをしたい」という気持ちによって突き動かされるものなのです。