2009年2月17日火曜日

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

最近邦画で「ヘブンズ・ドア」ってやってるけど、これってこの映画のパクリじゃないのっ??と真剣い憤りを感じてしまった。それぐらいこの映画は大好きです。それなのに、、、それなのに何故に日本でリメイク??別にリメイクしなくたっていーじゃん!!この映画は名作としてそっとしておいて欲しいなぁという心境です。

海を見る為に強盗、窃盗をしでかす二人。でも後になって返したり、棚ぼたで手に入った大金を困っていると思われる人々に送ったりと、とても素敵で可愛い事をしてくれます。とても都合良く出来ている内容も、この重いテーマではならではのご愛嬌という事で。(こういう展開だと誰でも面白いと感じながら観る事ができますよね。)一番最後の場面が一番奇麗で好きです。朝焼けの中、風が強く波の荒い海の場面です。

突然の死の宣告に恐怖を感じる前に、もしくはその恐怖を忘れるためにこんなにも一生懸命に、ただ「海」を見るために無茶苦茶やってきた二人をとても愛おしくとても近く感じてしまいました。若くして命を落とす事になった二人に、何でもうまくいく!という素晴らしい時間を神様がくれたのかもしれません。

2009年2月7日土曜日

フルメタル・ジャケット

すっかりキューブリックファンの私です。戦争映画って音響効果が凄いイメージがあったのですが、これはまた今までの戦争映画とはひと味もふた味も違った雰囲気を持っています。キューブリックの映画は不気味な静けさが特徴的という気がしますが、この映画もまたかなり不気味な静けさが続いていました。そして前半と後半での映画としてのイメージがあまりに違いすぎる。(これはシャイニングでも同じですね。)前半は海兵隊に入隊する前の訓練校での厳しい毎日を描いていて、後半は実際に戦線で活躍する彼らを描いている。前半もかなり凄かったけれど(教官が聞くに耐えないようなおぞましい言葉で訓練生たちを罵り、罵倒し、人格さえも抑圧させてしまう。)後半の戦地でのシーンはかなり恐ろしかったですね。余計な効果音は全くないです。でも何なんだろう、あの恐怖心を煽るような恐ろしい音がたまにするんですよね。あとは銃を操作する音や服が擦れる音ぐらいしかしません。カメラワークをどうやっているのかは調べていないのでよくわかりませんが、恐らく兵士たちと一緒の仲間になったような視線で撮っていると思います。

この映画を観ると、なぜ戦争ではあんなに大量に人を殺せるのかという感覚がわかる気がしてきます。映画の中でしょっちゅう「ウジ虫ども」や「ネズミどもを駆除しよう」などという会話が出てきますが、本当にその感覚なんですよね。とにかく敵がいたら「駆除」しないといけないという条件反射のようなものなんだと思います。それは戦地に赴く前に恐ろしく厳しい訓練校で精神的に植え付けられ、卒業する頃には大抵の兵士たちは「敵を派手に殺したい」という衝動に駆られているように思えました。

バス174

ドキュメンタリー映画の中でもドキュメンタリー映画らしい映画でした。ブラジルに以前から興味があったので、なんとなく気軽に観てしまいましたがそれが大間違いでした。

幼い頃から環境に恵まれずストリートチルドレンになってしまった少年。本来はとても母親思いの優しい子どもだった。でもストリートチルドレンという厳しい環境が彼を「バスジャック」という非常に恐ろしい行動へと駆り立ててしまったのだ。どんなに自分の生まれた環境や世間の冷たい人々を呪っても、何をしても自分の環境を一向に変える事はできなかった。ストリートチルドレンはお金の為だったら何でもする。強盗はもちろん、殺人だってする。彼もかつて母親を目の前で殺され精神的ショックを受け、挙げ句の果てに今のようなストリートチルドレンになってしまったのだ。でも彼は本物の悪人にはどうしてもなれなかった。結局彼の優しさが全てを邪魔していた。

ブラジルの国というものがどれだけ貧富の差が激しいのかという事、そしてストリートチルドレンへの対策が全く為されないまま何十年も放置され続け、それを取り締まる筈の警察のいい加減な事と言ったら。本当に見ていて呆れました。映画に出て来た特殊部隊は素晴らしかったと思うけれど、警察は素人同然で驚きました。

なぜ自分がブラジルに今までそこまで行きたいと思っていたのか、なんだかよくわからなくなってしまいました。ブラジルの音楽やラテンの雰囲気を味わいたいなどと暢気な事ばかり言っていた自分は本当に実情を知らなさすぎて、とても恥ずべき事ですね。もしそれでも行きたいと思うのなら、この貧困やゲットーの実情をよく知って、それに伴うリスクも考えてから行動するべきだと思いました。