とても完成されているこのような映画に出会えると、私自身とても満足した気分で一杯です。こういう映画が本当の映画と言えるのではないでしょうか。音楽も最初から最後まで静かでとても効果的に使われています。映像とか風景もとても美しい。(というか私の好みです、色とか雰囲気とか。)
自分の明るい将来を捨て、自分自身の信念だけを信じて行動する青年。自分の意思と反してとんでもない罪を犯してしまった美しい女性。どこでどうやって惹かれあうのかなんて、誰にも、本人たちにすらわからない事ですよね。恋愛ってそういうものだと思うのです。話の内容的にはとてもシリアスで破滅的です。でも時間は事件が起こる前も起こった後も、いつも同じように過ぎて行く。そして事件が起きた事が夢なのではないかというぐらい、一日一日が淡々と過ぎて行く。
最後のシーンがとても切なくて、二人が音もなく消えてしまった時は下にいる人間たちがとても俗物的で汚い物にさえ見えてしまいました。二人はきっと、この世で生きて行くには純粋すぎて傷つけられてしまうだけなのです。二人は出会った時から「死」を意識していたでしょう。ヘリコプターに乗った時に、遂にそれを決行したのですね。二人らしい「死」への選択だと思います。